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国債とともに地方公共団体や事業会社?銀行などが資金調達のために発行したものも含めた公社債全体の売買高は、東京市場だけで八七年に五六五二兆円となっている。
そのうち国債は五四六六兆円で九六・七%を占めており(『東証要覧』八八年版)、公社債売買手数料のほとんどが国債のものとみてよい。
八七年の全国公社債売買高は、国債の累積とともに、この四年間に毎年、倍々ゲームで倍増し、八七年には九四一三兆円になった。
一兆円の一万倍である一京の大台に達するのも時間の問題となっている。
八一年には実質国民総生産とほぼ同額の三○○兆円の売買高だったが、わずか六年後の八七年には実質国民総生産の三○倍になってしまった。
国債残高が累積しただけでなく、実態経済ともかけはなれて、「売った」「買った」を激しく繰り返したからである。
いうまでもなく、激しく売買して回転率を上げれば上げるほど、証券会社の手数料稼ぎと同様に、売買手数料がかさむ。
すべての売買が、最も安い一億円以上の大口取引であったとしても、一京円に近い売買高の手数料は二三兆五三一五億円に達する。
売買手数料だけで、国民一人当たり二三万円相当が、金融大企業のふところに入っているわけである。
また、八六年度末では国債残高の二九・一%は、市中金融機関が所有している。
国債整理基金特別会計の国債利子等支払の約一兆円のうち、少なくとも二九○○億円の利子が民間金融企業のふところに入っている。
もちろん、彼らの手中には、売買によるキャピタルゲインが見込まれる。
市場を支配できる金融大企業ほど、キャピタルゲインもうまく手にすることができる。
国家財政も破産状態という妙なマネー大国では、国の借金がかさめばかさむほど、金融大企業のふところが豊かになっていくという構造になっている。
金融大企業にとって、国債残高が累積することは、カネ八三年四月には、金融機関による国債の窓口販売が自由化され、国債の個人向け売買が浸透した。
八四・年六月には、償還までの残存期間が二年以内の国債のディーリング業務が自由化されが八五年六月にはフルディーリングが自由化され、売買取引は急拡大した。
八五年一○月には、少額の資金で多額の取引がで、それだけ投機に走りやすい先物市場もスタートした。
こうして、国債は投機的な金融取引のエジキに禁止している。
もともと、国債は、戦時中に戦費を調達するために発行された。
国民が命を担保に掛けた生命保険の保険料でさえも、生命保険会社が国債を買う元手となり、人の命の奪いあいである戦争の資金として消えてなくなった。
戦争の悲劇と国償が果たした戦費調達の役割を反省し、戦後制定された財政法では、〈国の歳出は公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない〉(第四条)と、国債の発行をのなる木が大きく育つことであり、「売った」「買った」を繰り返せば繰り返すほど、売買手数料とキャピタルゲインが期待できるわけである。
だからこそ、金融大企業は、累穣した国債の流通市場の自由化を政府に要求してきた。
財界の中核団体である経団連は、八七年一○月の「暗黒の月曜日」後の株価暴落の最中に、フォーラム「企業の財務戦略と金融・資本市場の展開」を開催した。
T義久N証券社長は、講演のなかで〈わが国金融・資本市場中核は国債〉(「経団連月報」八七年一二月号)であると、その自由化によって〈金利自由化が加速されよ〉と述べている。
国債の自由化は、金融全体の自由化の〈中核〉をなすものとして、その自由化を実現だが、財政法は、このあと〈但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経団連は六六年からは、公共事業費などの財源として建設国債が毎年発行され、七五年からは赤字国債が大量に発行されるようになった。
高度成長政策や列島改造などで、大企業のために国の資金をばらまいた結果だった。
国家のバックアップで大企業はますます高度成長したが、国家はそのために借金財政になったわけだ。
だが、六五年には高度成長政策がいきづまり、税収が上がらなくなったため、歳入不足を補填するため国債を発行した。
この国債は、この財政法の但し書きにある公共事業などの財源に当てる「建設国債」として「赤字国債」と呼ばれ、また、発行のつど特別立法を必要としていることから「特例国債」ともこうして、この国がマネー大国になっていく一方で、国家財政は借金の国債演けになった。
しかも、金融大企業は国家財政の借金をカネのなる木にして、大いにビジネス・チャンスをひろげてきたのである。
その下敷きになっているのが、国民である。
以上にみたのは、典型的ないくつかの例に過ぎないが、それだけでも国民一人当たりの年間の損失がどの程度になるのか、集計しておこう。
二○年間のインフレによる損失は、一人当たり一○○○万円だったが、年間では五○万円になる。
公定歩合の五回にわたる引き下げにともなう個人貯蓄の損失一二万八九○○円。
いずれ税金として回ってくる国債の返済額一八万円と利子一万円を含めた国債整理資金特別会計分の四二万円。
以上で、国民一人当たり一○○万円を超える。
四人家族なら、四○○万円を超える。
これだけの大金が、知らず知らずのうちに、国民の財布から消え失せていくわけだ。
国民にはマネーが回ってこないはずである。
このところ、N銀が外国為替(外為)市場でドル買い・円売りの介入をしたというニュースを、よく耳にし目にする。
これが「政府の銀行」であるN銀の国際的な「政策協調」と呼ばれている代表的な業務となっている。
いったい、だれのための「政策協調」であり、なぜドルを買い支えているのだろうか。
また、ドルを買うための円資金は、だれの財布からでているのだろうか。
八七年一○月の「暗黒の月曜日」と世界的な株価暴落は、為替相場にも波及し、一○月二九日には、前日の欧米市場でドルが全面安となった。
東京外為市場でも一ドルU一三七円台をつけ、約半年ぶりに円の最高値に迫った。
政府・N銀は、ドルを買い支える「協調介入」をつづけた。
この日、宮沢大蔵大臣は、ドル安の進行を食い止める決意のほどを、つぎのように語っている。
〈日、米、英、西独とも、これまでにない相当な規模で、本気になって協調介入している。
介入資金はいくらでもある〉(「A新聞」八六年一○月一九日夕刊)その効果はともかく、決意のほどが実際にどう発揮されたかは、外国為替資金特別会計(外為会計)をみれば数字でわかる。
外為市場での為替介入は、外国為替資金特別会計法にもとづいて、N銀がその事務の委託を受ける(第六条)という形式で、N銀が外貨の売買をしているからだ。
N銀でも、宮沢大蔵大臣が〈介入資金はいくらでもある〉といったのと同様に、こういった。
こうした国民の犠牲のうえに成り立っているのが、金融大企業がやりたい放題で儲ける「金融の自由化」といえる。
だが、同時進行の「金融の国際化」は、金融大企業の国際業務を飛躍的に拡大させるだけでなく、やはり国民への背信の構造になっている。
「けつこう円高になってしまいましたが、カネをおしんで日本経済全体がおかしくなるのは困るわけですから、ケチるカネじゃないですからね。
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